安倍首相��國神社参拝訴訟（大阪）　第９回　判決
	当日の空のように、心の底からスッキリとした判決！
	傍聴券獲得運動
	平成28年1月28日。 傍聴券を獲得し、ねじまがった原告の論理は決して普通ではないと裁判所に伝える為に裁判所に行きました。 早朝にも係らず、裁判所の門の前には報道陣の姿も見受けられました。 後になって耳にした事ですが、どうやら原告が呼んだのではないかとの事です。自分たちが行進する様子を押さえるようにとでも言ったのでしょうか。 報道陣は我々には目もくれませんでした。淡々としていますので絵にはなりませんが、両方の意見を報道する必要はないのでしょうか？これは、判決後の映像にも言えるのかなと思います。 さて、時間となり、人数が多く予想通り抽選となりましたので、抽選権を貰って並んでいました。 裁判所の予想よりも少なく抽選券の配布枚数は148枚でした。このうち53人が傍聴券を得る事が出来ました。 我々はだいたい70名ぐらいが集まりました。割合的にも原告と半々くらいの獲得率となったように思います。 ただし、原告への優先傍聴券が20枚近くあったとの事ですので、傍聴席の割合は１：２くらいになっていたと聞いています。
	報告会
	11時からは場所を大阪府神社庁に写し、露原時局対策委員長が司会を務める報告会が開催されました。 先ずは、神道政治連盟大阪府本部の衞藤本部長の先導で神殿に拝礼し、大神様にご報告をしました。
	神道政治連盟大阪府本部 衞藤本部長の挨拶 近畿一円から多くの方に集まっていただき、御協力をいただいた事御礼申し上げます。 今を生きる私達の為に、命を捧げて下さった英霊に感謝の気持ちが大きくなるほどに、こういった裁判の話を聞いたり、関わったりしていると、本当に腹立たしく、また英霊に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
	��國神社 �ｺ川宮司のご挨拶 裁判が始まりまして以来、多くの関係者の方がご協力下さいまして、��國神社としては本当に感謝をしております。 このような裁判を起こされるたびに、私は朝拝の際に「また裁判です」と申し上げているのですが、その内容を英霊にお伝えすることは本当に申し訳なく、つらい気持ちになります。ただ、明日の朝拝では「こういった判決でした」と御祭神に申し上げたいと思います。 今回原告がインターネットで「原告になりませんか」という募集をして原告を増やしていました。こういったことは、本当に正しい司法のあり方でいいのであろうかと考えなくてはいけないと思います。
	大阪府神社庁 寺井庁長のご挨拶 私共は��國訴訟とは長年にわたりまして、様々な形で微力ではありますが協力をさせていただいてまいりました。むしろこういった訴訟の問題は私共に「いったい大東亜戦争とはどういったものだったのだろう」ということを考えるきっかけになるんじゃないかと思っています。 私達はこれから英霊に対する感謝の気持ちを持つことは勿論大事だけれども、日本の国の姿を確認し合あおうという動きが、日本の中で起こってほしいと言う風に思うところです。 まだまだ、こういった事例は続くとは思いますが、我々が強い意志と国を思う心を持って対処していかないといけないと思います。
	神道政治連盟 打田幹事長のご挨拶  今回の裁判につきましては、内容的に完璧な勝利であったと思います。 この所謂��國神社に関する裁判というのは、昭和50年代後半から��國訴訟といわれるような形で、公式参拝を要望する決議自体が宗教活動にあたるという流れになり、��國神社・護國神社に対する玉串料の訴訟というところから始まってきたわけであります。 平成10年を過ぎたあたりから、訴訟の性格上��國神社御当局までが被告にあげられるという事態に発展しております。 元々憲法20条3項（宗教活動にあたるかどうか）、そして89条を争点として争ってきましたが、祭祀権の優先順位や宗教的人格権が侵害された等、次々と原告側は論理を展開してくるわけでありますが、今日においては平和的生存権まで持ち出してきました。 起こしている側にとっては、運動の一環として「絶やしてはいけない・常に誰かが起こしていなければならない」そういった気がします。日本の訴訟制度におきましても、本当にこれで良いのかと思ってしまいます。
	竹野下弁護士から報告 中身に関しては120％こちらの勝訴ということで、今日の天気のように非常にすっきりとした、澄み渡った気持ちで聞いておりました。ですから、途中から原告の方からは不規則発言をしておりました。原告側の主張に対してまともにダメだと裁判長が言ったものですから、余計に不満が溜まったのでしょう。 こちらとしては、「小泉参拝訴訟で決着がついた問題だ」ということを中心に主張して参りました。確かに、小泉参拝訴訟では20条に対して判断をしていますが、平和的生存権についての論点は出ていませんでした。原告は、小泉参拝訴訟を分析して、憲法判断に踏み込んだ福岡地裁・大阪高裁に関しては違憲判断が出ているのだから、「憲法判断にさえ踏み込めば必ず違憲判断が出るんだ」という立論をしています。 原告が今回侵害された利益は主に3つと裁判所は整理しています。「�@内心の自由形成の権利�A信教の自由確保の権利�B回顧・祭祀に関する自己決定権等の侵害について」であり、これらは憲法20条の問題であり小泉参拝訴訟の時から言っている問題です。 これに関しては最高裁が平成18年に判断していますので、これに関しては被侵害利益とは認められないとのことです。 「憲法尊重義務を負う内閣総理大臣に対する期待権の侵害」については、説明要旨において次のように述べています。「小泉訴訟において原告であった原告らは、福岡地裁平成16年判決及び大阪高裁平成17年判決の理由中の判断において、内閣総理大臣としての��國神社参拝が違憲であるとの判断がされた以上、小泉訴訟で原告であった者が、その後に就任した内閣総理大臣が��國神社参拝を行わないだろうと信頼、期待したことは法的保護に値する旨主張する。しかしながら、裁判所が、ある事件に関し、公務員の特定の職務執行行為が違憲であると判断したとしても、その後の社会・経済情勢の変動や国民の権利意識の変化等によって裁判所の判断が変わることもあり得るのであるから、裁判所のある事件に関する判断に対する個人の信頼、期待が、損害賠償等によって法的に保護される利益となるものと解することはできない」ということで、我々からすると目の上のたんこぶのようであった福岡地裁と大阪高裁のねじれ判決に対して、非常に慎重な形ではありますが、批判的な捉え方をしています。「憲法判断に踏み込んだからといって、必ずしも違憲判断になるとは限りませんよ」ということが言外に示されています。これが原告が一番こたえた点だと思います。 あと、平和的生存権についてですが、一部の判決では抽象的には認められるという判断です。ただし、具体的な権利として認めるにはまだ足りないとのことです。今回の判決においても、同じような判断がなされています。これは司法界でいえば常識的な判断です。 今回は小泉参拝訴訟よりも多くの方が補助参加として協力をしていただいています。原告の数をはるかに凌駕する人数が補助参加人に名前を連ねたことは、かなりの影響を与えていると思います。今回の非の打ち所のない判決も傍聴支援だけでなく、補助参加の支援もあったからだと考えています。 ところで、次の控訴審は前回のこともあり不安があります。色々な問題で、大阪高裁というところは鬼門のようなところがあり、突如としてびっくりするような判決が出る可能性がゼロではないと言えます。そういうことがあって、実は勝負は大阪高裁であるという認識でした。おそらくは原告も同じ認識であり、もしかすると大阪高裁ではなんとかなるかもしれないと思っているかもしれません。
	神道政治連盟政策委員・國學院大學名誉教授 大原先生の解説 今回の訴訟と判決は政教訴訟の歴史の中でどのような位置付けであるかを我々がどう汲み取ればいいのか、ということを過去の歴史を回顧しながら、少しばかりお話をしたいと思います。 申すまでもなく、政教訴訟の始まりは昭和40年の津地鎮祭訴訟です。昨年は終戦70年でありましたが、津地鎮祭訴訟から50年という節目の年でもありました。津地鎮祭訴訟においては、最高裁の大法廷判決において我々の常識にかなう判決が出されました。次の山口県での政教訴訟においても最高裁で合憲が出ております。ところが、愛媛県であった玉串料訴訟では、最高裁で違憲の判決がでてしまいました。その後、北海道でも訴訟が2件起こされ、1件は違憲、もう1件は合憲と結論が分れました。 さて、我々としては極めて遺憾な判決が愛媛県玉串料訴訟の判決であります。しかしながらこの判決は津地鎮祭訴訟の判決の目的効果論という柔軟に政教分離論を解釈する方法を使いながら違憲としたのです。つまり論理だけは借りてきたけれども、適用が180度違うような判決が出たという事です。その判決につきましては、勝訴した側の弁護士から見ても「津の判決を使ったのはおかしいのではないか」という批判が出たくらいです。したがいまして、津や山口県の判決はそれ以後の下級審で何度も引用されていますが、愛媛県の訴訟の最高裁判決が下級審で引用された事は、私の知る限りにおいて見当たらないのです。 これらに類する政教訴訟において、私が数えただけで80件近くあると思いますがほとんどが合憲の判断がでており、最高裁だけでなく高裁・地裁においてもそれを逸脱する判決は出ていません。例外として福岡地裁と大阪高裁があげられますが、これらも主文ではなく傍論で違憲の判断をし、原告側は負けているにも関わらず「実質的勝訴だ」といってやめてしまっています。 法的に見れば全くの敗訴ではありますが、彼らが目指すものははっきりといって、法の問題だけでなく政治的・思想的なパフォーマンスを行い、それをマスコミに取り上げてもらい、そしてそれが世間で話題となり、それが政界やジャーナリズムに影響を与える事を期待して、法律とは違った動機で起こされていることは間違いありません。しかも、今回の訴訟は全国6都府県で行われた小泉参拝のうち最高裁までいった訴訟が全て原告敗訴となっています。今回の原告は前回の原告とほとんど重なるわけですから、彼らも負けるのは分っていると思います。今日の判決の際に主文が読み上げられ、すぐに野次や怒号が飛ぶかと思っていましたが、その時は静かで、理由を言ったところで2ヵ所くらいから出ただけでした。彼ら自身も主文ではダメなことは分っており、せめて傍論で違憲の判断が出てくることだけを期待していたのでしょう。ところが、そういうところに一言も触れられることもなかったわけです。さらには、安倍首相の記者会見での事柄までも、逐一それに対する丁寧すぎる理由説明がありました。そういう意味では、100パーセントどころか120パーセントと竹野下先生が仰ったように、我々が望むような判断を下されたという事ですから、私もおなかの底からスッキリしました。 しかしながら、控訴審はまだ楽観はできないと思います。勝訴したけれどもなんとなく後味が悪いということを大阪高裁で3〜4回体験していますので、やはり大阪高裁は鬼門であると思います。我々も本日の判決に満足することなく、色々な形で訴訟に対して努力をしていかないといけないと思います。 今年は、津地鎮祭訴訟が昭和40年から始まって半世紀を超え51年目となります。新たな政教訴訟の歴史の一歩が今日の判決であったと思います。
	補助参加人 徳永弁護士から報告 今日は判決でしたので、補助参加をしませんでした。というのも、結審をしてから今日までの間に補助参加をしていた案件が地裁と高裁で却下されてしまいました。そして、結審をしてから判決の間に新たに補助参加をするのも如何なものかと考えましたので、判決は傍聴席で聞いているだけでいいかと思い、中には入りませんでした。 判決の中身に関しましては非常に満足をしております。今日の判決は繰り返しになりますが、福岡地裁の16年判決・大阪高裁の17年判決に対して、「あれはあれだよ。これからは裁判で使っても、人権侵害の根拠にもなにもならないよ」ということをわざわざ書いてくれましたので、全国で��國裁判を起こしている連中の虎の子の財産であった16年判決・17年判決を正面から叩き潰す判決 でした。これは確かにスッとすると思った次第です。 これから間違いなく彼らは控訴するわけです。高裁の段階でも我々は補助参加をします。せっかく高裁で補助参加をするので、何か面白い切り口が無いかと考えています。 あと、なぜか政教分離のターゲットにされるのは常に神社・神道だけなのです。実は今沖縄で扇長知事が那覇市長だったころに市民公園に儒教の宗教施設である孔子廟を立てました。そして、そこをある団体に無料で貸し出しをして、年に一度孔子のお祭りを中国式でしており、そのことを胸を張って言っているようです。これは政教分離違反になるのではないかと那覇市民が提訴し、那覇地裁で争われています。そこで問題になっているのも先程ご指摘のあった北海道の砂川市にある空知太神社裁判の判決に照らしてどうなのかということを整理してやっています。政教分離裁判にはそういうものもあると覚えておいていただければと思います。